amazonのあらすじ
悪名高き鈴蘭高校に入学した月島花を待ち受けていたのは、鈴蘭名物“一年戦争”だった!!不良(ヤンキー)まんがの巨匠が描く新・最強伝説!!
※以下ネタバレ
バトル系にありがちな要素を大胆に削除
・挫折も成長もない
ケンカとは言え一応バトル漫画。バトルと言えば主人公の挫折と成長。しかし主人公は一度も挫折しない。新しい技を覚えることもない。
ケンカをしているのを周りが見て「また強くなってるな」と言われることはあるが、倒せない敵を倒せるようになるような成長はない。
・インフレもジャイアントキリングもない
序盤に登場するグリコというキャラが最強で同レベル以上のキャラは出てこない。
全てのケンカ(タイマン)で強い方が勝つ。友達がやられたという理由等で強さが逆転することもないし、知略によって1回だけ上手く倒す、とかもない。
・人質等の卑劣な戦法が1度も使われない
序盤の敵キャラである天地は残虐系で、謀略を使って多勢に無勢を作り出すことはあるが、弱いキャラや女性キャラを人質にボコるようなシーンは一切ない。
そもそも最後までクソキャラとして扱われるキャラが一人もいない。全員まとも。登場人物エグい数出てくるけど、基本全員なんらか男気がある。つまりキャラかぶり多数。
・一コマも女性キャラが出てこない
作中には女好きのキャラも出てくるが、話に出てくるだけで女性キャラが出てくるシーンは1コマもない。寮のおばちゃんもおかまという設定。
なんだかんだ最後まで読んでしまう原因は何?
上記で書いたように他の漫画で基本採用されている盛り上がりのための工夫を大胆に排除しているにも関わらず、30巻越えの作品で人気を博している。
自分なりの推測としては「大きな物語のチラ見せ」が成功の鍵と思っている。イメージとしてはコナンが数話完結の探偵モノなんだけど、ちょっとずつ黒づくめとの話がチラ見せされながら進んでいく感じ。
本作も基本は数話完結の話だが、裏に用意されてる物語がチラ見せされながら進んでいく。序盤は「天地の逆襲」という物語で、少しずつ天地側の準備が整っていく様子がチラ見せされていく。
このチラ見せがそれぞれの物語を味付けするし伏線やフリにもなる。そしてチラ見せしながら熟成することで、本番のカタルシスも上がる。
「入学時のケンカでやられた天地がもう1度ケンカしにくる」という、言ってしまえばそれだけの話が、上記熟成によって何か壮大な物語のように感じてしまう。
中盤は「花の番長取り」、終盤は「萬侍との衝突」である。裏の用意としては徐々に質が悪くなっていると思っており、実際終盤は惰性で読んでる感があった。
良くなかった点はキャラの数
かなり昔にクローズ(本作はクローズの続編にあたる)は読んでいたのだが、今回はクローズは読み返さず本作から読んだ。そうすると、キャラの数が多くて特に鳳仙とかは書き分けもきつく読みづらかった。武装もかなりきつかった。
この辺は続編ということで仕方ないところではあるが、本作だけ読もうという方には注意が必要。